「精神の障害に係る等級判定ガイドラインの等級目安」のみに過信しない!
「精神の障害に係る等級判定ガイドラインの等級目安」のみに過信しない!(「再審」に着眼)
~久しい搭載ですが、最近の年金審査の難化を踏まえて、自分のおもいを少々、小難しく専門的に綴っておりますが、ご関心のある皆様方は一読頂ければと思います~
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精神疾患の審査請求・再審査請求(以下、審査請求等という)の棄却処分事例を個々に検討しますと、精神の障害程度の原因、緒症状、治療及びその病状経過、具体的な日常生活状況等を総合的に認定されており、加えて日常生活の制限の度合いに大きく左右されています。精神障害は同一原因でもその症状は多様でありながら、具体的な日常生活状況等の生活上の困難さが判定され、殊に身の回りの支援を受ける方がいるか、福祉サービスを受けているかなどに審査上の焦点があります。これは精神障害者保健福祉手帳等の取得に関わらず現実的な生活能力の盲点が突かれているわけです。
審査請求等において、裁定請求時の診断書記載内容の障害程度が等級該当の程度でも、例えば、近くに支援者がいない場合、就労状況が一般的な場合、その他服薬の状況等によっては、審査上、致命的な弊害となります。近年の不支給結果の増加、審査請求等での被る確率の低さを鑑みると、初回の申請段階での慎重かつ適正な総合的判断に迫られているところです。
厚生年金保健加入時に初診日がある場合、日本年金機構では加入状況が把握されているので、たとえ休職が継続していて障害等級2級該当でも3級の審査で下ることもあるでしょう。
「精神の障害に係る等級判定ガイドラインの等級目安」は、あくまで目安と考えるべきで、今後、障害の程度が日常生活状況等といかに結び付いているかの争点を明確にして初回の申請に挑むべきと考えます。
けれども、不支給結果に至った場合においても、日本年金機構に対して不服申立ての機会が設けられていることは、稀薄でありながらも他の労働法による助成金などは異なりある意味、救いの手かも知れません。
年金の更新の際においても、等級不満で審査請求等を試みたとしても更新年数に対する申立てをする人はいないし、むしろそれはできない。次回更新時での結果を待つ他ありませんが、症状の悪化により自動的に等級が上がることや、傷病によっては有期が無期に変わる可能性もあり得ます。また、症状が悪化傾向にあるにも関わらず更新結果が現状維持の場合は、近い将来、額改定請求により上位級への変更願いもできます。
不支給結果に納得できずに、再審査請求等に挑む際、客観的な立場からも不公平さがあるのであれば、それを裏付ける任意の別資料の添付等で対抗することになります。一度下された裁定を逆転させることは、容易ではなく、裁決処分が取消されるには余程の真意性に迫られることになります。
しかし、障害認定日による請求が認められなかった場合、事後重症請求という方法があります。障害認定日による請求を主位的請求とし、現症請求を予備的請求とした場合、次順位の予備的請求は併合されており、主位的請求が認められていることが解除条件とされることから主位的請求の条件の成就により予備的請求はその効力が失われると解され、障害厚生年金の障害等級3級を2級に不服申立てた起訴が棄却された事例があります。しかしながら、予備的請求つまり事後重症請求は、今後、障害の程度の増悪によりその請求の道は残されているわけです。
以上
